庵野総監督の新解釈!『シン・ゴジラ』がすごい【後半ネタバレあり】

評判は聞いていた。でも怪獣映画でしょ?と、少しなめていた。すみません、すごい映画でした。先入観抜きで、大スクリーンで観てほしい。

先日公開になったばかりの映画『シン・ゴジラ』を観てきた。12年ぶりの日本製ゴジラ映画ということだったけど、実は日本のゴジラ映画は観たことがない。ハリウッド製「ガズィーラ」も一昨年に話題になったのではなくて、20年ほど前のを観たきり。ついでに言うと、総監督の庵野秀明氏の代表作、エヴァンゲリオンも観たことがない。

…とないない尽くしなのだが、『シン・ゴジラ』については土曜日くらいからツイッター上で評判がすごかった。
「いいよ!! めちゃくちゃいいよ!」
「シン・ゴジラはすごい。書いても書いても文章が出てくる」
「対ネタバレ食らう前に見た方がいいです」
「シン・ゴジラめちゃくちゃ面白いぞ!! 2周目行ってくる!」
「ありがとう庵野監督。 今日まで生きていてよかった」
ここまで言われたら観ないわけにはいかない。

感想は…とにかくすごかった! これまで観たことのないCGゴジラの大迫力、自衛隊や米軍まで総動員したリアルな戦闘シーン、未曾有の事態に対応しようとする政府の緊張感と無力感、そして絶望の縁から立ち上がる力強さ。これらが約2時間に詰まっていた。ニッポンもニッポン映画も捨てたもんじゃない、というか、最高だ! ぜひこれはネタバレ食らう前に劇場で観てほしい。

というわけで、以下ネタバレ。










やはり表現者にとって、5年前の東日本大震災の影響は大きかったのだなぁ…と改めて。ゴジラが最初に東京に上陸して、未曾有の事態に対応しようとする政府関係者の様子は、その混乱ぶりも含め東日本大震災の発生時を思わせる。そして最後、「ヤシオリ作戦」でゴジラを倒す最終兵器は、福島第一原発に投入されたのと同じポンプ車。命がけのポンプ車が日本を救ったのだ、原発もゴジラも。

この映画の社会派な部分は日米安保法制をもあぶり出す。途中、ゴジラが東京都心を焼け野原にし絶望の縁に立たされたところで、アメリカが介入しようとしてくる。核爆弾でゴジラを攻撃するというのだ。もう、ムチャするわ〜と思うけど、これこそが自国の防衛を他国に頼る恐ろしさ。だからこそ映画的には日本で何とかしようという緊急対策チームの痛快ぶりが際立つのだけど、現実で考えると少し怖い。

…などという社会派な部分を抜きにしてもエンターテインメントとして十分楽しめる。最後のヤシオリ作戦で、新幹線に在来線、高層ビルまで総動員して「ニッポン対ゴジラ」を演出するのは少し笑ってしまう。ありがちな「愛する人のため」みたいなお涙頂戴もなく、石原さとみと恋愛関係になることもなく、全体にさらりとしているのも僕好み。観終わって爽やかな印象が残った。

さて明日1日は映画の日。平日だけど、万代のTジョイでは夜7時台と9時台に上映があるので、仕事帰りでも間に合う。きっとこれは何年も語り継がれる作品になる。特撮好きもそうでない人にも楽しめるはずだ。

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